日本人の海外移住先として人気のマレーシアですが最近「マレーシアへの移住が難しくなった」「物価上昇が予想以上で暮らしやすいと感じられない」との声が増えてきたと感じます。
そこでこの記事では移住、特にマレーシアで起業を考える人向けに、2025年現地での「GDP成長」「物価動向」「ガソリン代」に焦点を当ててマレーシアでの暮らし向きに関して考察してみたいと思います。
近年のマレーシアの状況
2024年日本では円安やインフレ、賃金の上昇が話題になっていました。また、社会保障の問題もり、海外移住の傾向が強く感じられる一年だったのではないかと思います。
特にマレーシアへの移住については、生活コストが安いことが話題に上がりやすいですが、こちらで事業をしている人たちの声を聞いていると、「決して安くないと感じる」との声が増えていると感じます。。
2025年になり今回はマレーシアのマクロ経済のトレンドと、こちらで事業を行う上で抑えておきたい3つのポイントをお伝えします。特に3つ目は生活における大きな値上げに関する変化のポイントですので参考にしてもらえると幸いです。
マレーシアのGDP
まず1つ目として、2025年のマレーシアの経済について、比較指標としてGDPを取り上げます。GDPは日本とマレーシアのGDPを比較するだけでなく、PPP(購買力平価)という指標を活用して考えてみました。(データは2011年からのもので、両国の物価の違いが反映されています。)
マレーシアのGDPは3万8617ドルで、順調に右肩上がりです。ドルベースでの数値なので、円安の影響もありますが、リンギットもドルに対して安くなっているため、こうした数値の差が生じています。これが何を意味するのか考えると非常に興味深いです。
仮に日本とマレーシアで同じ年収500万円の人がいた場合、社会保障を考慮すると、手取りの部分ではマレーシアに住む人の方が使えるお金が多いかもしれません。
マレーシアでの賃金上昇は続いており、インフレも2%から3%程度ですが、このままいくと2030年や2035年には、購買力の面でマレーシアが日本を抜く可能性もあると感じています。
この記事でお伝えしたいのは、引き続きマレーシアのGDPは2025年も4%から5%の成長が見込まれており、日本は約1%から1.2%の成長が予想されていることです。もちろん海外の状況にも影響を受けますが、これらのデータを踏まえて今後の動向を見守っていきたいと思います。
まず、投資についてですが、FDI(外国直接投資)は堅調に推移しており、内需もさまざまなセクターでばらつきはあるものの、2025年も経済が引き続き成長すると言われています。
インフレの影響や業界特性もある中で、賃金が上昇していくことを考えると、購買力の平均値も上がってくるでしょう。一方、日本は引き続き横ばいの傾向が続くと思われます。このように、実際に使える財源や財力は、特にクアラルンプールを中心としたマレーシアの都市部で成長していくと考えられます。
マレーシアの物価
次に、物価についてですが、これは1つ目のトレンドを踏まえた話です。クアラルンプールについても、物価に関する情報がメディアやSNS等で取り上げられていますが、基本的に生活水準によってばらつきがありますので、一概には言えません。
ただし、事業を行う上で考えると、通常オフィスを開設し、ビザを取得し、従業員の給与やオフィスの固定費を含めた月次のランニングコストを計算することが重要です。
ここ数年で特にデジタルや半導体、ITエンジニアリングなどの分野では、優秀な人材の確保が難しくなっており、人件費の上昇が懸念されています。
また、こちらは転職文化が根付いているため、従業員が1、2年で辞めてしまうことも多く、優秀な人材を維持するためには、相応の賃金を支払う必要があります。そのため、事業運営コストは引き続き増加していくと考えられます。
さらに、どのエリアで事業を行うか、またどこに住むかによっても生活費が変わってきますので、物価感については各自の感覚が異なるとはいえ、
特にクアラルンプールで事業を行う際には「安くて最高」という生活は、もはや過去のものになりつつあると感じています。この変化は非常に大きいと考えており、2025年以降もこの傾向が続くでしょう。
マレーシアのガソリン代
最後に、3つ目のポイントですが、これはガソリン代の話です。実生活で最も影響が出る部分だと思います。マレーシアはガソリンや天然ガスなどの資源を持つ国ですが、ガソリン価格は政府の政策に大きく影響されます。
補助金についてですが、2024年の7月にディーゼル補助金が撤廃されることになりました。現在、ディーゼル価格は約3.3リンギット、つまりおおよそ110円程度です。
来年、いわゆるレギュラーガソリンに対する補助金もなくなると言われており、その影響でかなりのコストアップが予想されます。事業を運営する上で車が必要な場合、従業員のガソリン代や交通費がすべてコストに影響してきます。
業界や事業の規模によって異なりますが、月額で見ると相当なコスト増につながるのではないかと思います。これは事業だけでなく、生活面でも影響が出るでしょう。
特に車を持っている方にとっては、ガソリン代の高騰が交通費や物価全般に波及する可能性があります。2025年にはこの点が非常に注目されると思います。
2025年は様々な面でコストが上昇していくことを感じる一年になるのではないかと考えています。さて、今日お伝えしたいのは、海外移住に伴う必要なコストについてです。特に都市部においては、マレーシアが安いと感じることは少なくなってきています。
もちろん、例えば同一条件で東京とクアラルンプールのペットボトル水やその他の商品の価格を比較すれば、生活水準は東京の方が高いことが多いですが、お酒の価格やサービス税が影響する外食やホテルの料金に関しては、ここ数年で東京と同じかそれ以上になっていることがよくあります。
ビジネスを展開したいと考えている方は、ぜひ今日のポイントを参考にして、安さだけに飛びつかずにマクロのトレンドや自社の状況をしっかりと考慮して、意思決定に反映させていただければ幸いです。
まとめ
この記事では「マレーシアへの移住は難しくなった」との声が出ていることに対して、マレーシア移住を考えている人々、特に起業を検討している人向けに2025年の現地「GDP」「物価」「ガソリン代」の3つに焦点を当てて考察してみました。