こんにちは!この記事では、マレーシアのカントリーリスクについてお話ししようと思います。最近、「マレーシアで会社を設立したい」「拠点化したい」という声が、以前と比べかなり増えている印象です。おそらく、隣国シンガポールの物価上昇や円安が影響しているのでしょう。ビジネスを考える中で、「マレーシアで会社を作ることはコストパフォーマンスが良いのではないか?」という期待が高まっているようです。
そこで今回はマレーシアの政策とそのリスクを2つの事例を通じて考えていきたいと思います。そして、最後にはマレーシアで長期滞在するための最良の選択肢についても提案してみようと思います。
カントリーリスク①MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)
まず1つ目のトピックですが、MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)プログラムについてです。新しいMM2Hの正式な申請基準の発表は当初2024年4月か5月頃を見込んでいましたが、6月に発表された最新の基準は、実際にはかなり厳しくなっていました。
具体的には、これまでの申請基準から大きな変更があり、特に「小金持ち」とされる層を対象外にする方向にシフトしています。つまり、日本で言うところの「富裕層」とされる金融資産1億円から5億円の人々ではなく、「さらに上の資産を持つ方々に来てもらいたい」という意図があるようです。また、不動産購入を促進する狙いもあると思います。
このように、一定の資金に余裕のある人を呼び込むことで、マレーシア自身もキャッシュフローを改善したいという考えがあるのではないでしょうか。MM2Hは、従来は東南アジアでの長期滞在を可能にする代表的なビザ施策として知られていましたが、コロナ禍を経て、今やお金持ち向けの施策へと変わってしまったのです。
このような基準の変更は、マレーシアの特性を示していると思います。税金や外国人に対する政策が急に変わることもあり、ビジネスを行う上でのリスク要因となります。申請基準がまだ固定されていない状況で、今後も変動する可能性があるため、注意が必要です。
このような背景を踏まえつつ、マレーシアでのビジネスを考える際は、リスクをしっかりと理解した上で行動することが重要です。それでは、次のトピックに進みましょう。
マレーシアのオフィス設立に関して、今後も「国の政策の方向性が振れやすい(変わりやすい)」という特徴がある」ということをお伝えしたいと思います。マレーシアの特性を理解しておけば、リスクを前提に「本当にここでビジネスを行うのが良いのか?」、「拠点化するのが適切かどうか?」を判断できると思います。
MM2Hプログラムへの関心は徐々に薄れてきているという声も聞きます。一定の資産がある方々、特に中国からの方々が、基準の高さや不動産購入の必要性を考慮し、周辺国の類似した長期ビザを選ぶ可能性があると思います。ここではMM2Hについてはあまり詳しく触れませんが、基準が頻繁に変わるという特性を押さえておくのは重要です。
カントリーリスク②ラブアン法人
もう一つの事例として「ラブアン法人」についてお話しします。ラブアン法人は、タックスヘイブンとして知られ、法人税が非常に優遇されているエリアです。マレーシアのボルネオ島近くにあるラブアンで法人を設立することで、税制優遇を受けることができます。コロナ前は、法人税が3%で、アフィリエイトなどリモートビジネスを行う人でも簡単にその優遇を受けられました。
しかし、混乱を経て、現在は法人税が3%から24%に引き上げられる可能性が出てきています。具体的には、過去の申請者も含め、法人税率がバックデートされることが発表されました。これにより、元々3%の優遇を受けていた人々が実際には24%を支払うことになったという事例もあります。
このように、MM2Hと同様にラブアン法人も急に不透明性が高くなる可能性があります。特定の業種に対する対応可能リストが存在しますが、その内容がグレーであり、基準が厳格でなくなっていることも懸念されています。このような状況を踏まえると、私はラブアン法人をビジネスの拠点としてお勧めしないという立場をとっています。
私自身は法人設立エージェントではありませんが、一般的な情報や実際の体験を聞く中で、規制が頻繁に変わることが拠点化を難しくしていると感じています。これからビジネスを考える方々には、こうしたリスクをしっかりと理解した上で行動することが重要です。
マレーシアのビジネス環境
先の事例(MM2Hとラブアン税制)を踏まえてマレーシアのビジネス環境についてお話しします。ラブアンの事例を参考にしながら、リスクを考慮する重要性をお伝えしたいと思います。先にMM2Hとラブアンの法人税率に関するルールの変更について触れましたが、特に短期間での変動が大きい点を強調しました。
マレーシアでは、中小企業向けの法人税の優遇措置がなくなり、さらにインボイス制度も導入されつつあります。これは大企業から始まり、2025年の8月には中小企業にも適用される予定です。国として外国人法人に特別な配慮をすることはありませんが、ルールを明確にし、しっかりとした調整を行おうという意向が強いと感じます。
また、居住者が他の人に肩代わりして会社を設立することもありましたが、今後は納税やライセンスの透明性が求められます。ライセンスを持っている方は、必ずライセンス番号を発行し、法人登記もきちんと行う必要があります。マレーシアとしては、透明性を持ったビジネスを推進したいと考えているのでしょう。
個人的には、マレーシアで会社を設立することは、あまりコストパフォーマンスが良いとは思えません。一般法人の話ですが、日本と比べると住民税がない分、税制面では楽かもしれませんが、ビジネスを行うためにはしっかりとした資本が必要です。自分自身の目的を明確にし、それを実行に移すことが求められる時代になっていると感じます。
ノマドビザに関して
最後に、長期滞在を希望する方にはノマドビザをお勧めします。最近、ノマドビザの申請数が増えており、競争が激しくなっていますが、これまでデジタルノマド(IT技術を活用して国内外を問わず場所に縛られず、遊牧民のように旅をしながら仕事をする人たち)だけを対象にしていたものが、経営者や専門職も申請できるように範囲が広がりました。過去には、ノマドとしての申請が通らなかった方も、今は再度挑戦できる状況です。
会社設立を目指すこと自体は悪くありませんが、会社を作ることがゴールにならないように注意が必要です。コストパフォーマンスが良く見えるような情報に惑わされず、今後の展望を考えてビジネスを進めていただければ嬉しいです。長期的にマレーシアに滞在したい方は、ノマドビザをぜひ検討してみてください。
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