介護保険料を納めすぎた場合、条件を満たすと「還付金」として戻ってくることをご存じでしょうか?しかし、「通知書が届かない」、「手続きが複雑でわかりにくい」など、戸惑う人も少なくありません。
この記事では、介護保険料の還付の仕組みから申請の流れ、注意点やトラブル防止策までをわかりやすく解説します。
介護保険料の還付とは?基本的な仕組みを解説

「介護保険料の還付」と聞くと少し難しそうに感じるかもしれませんが、仕組みは意外とシンプルです。これは、支払った介護保険料が何らかの理由で多く納められてしまった場合に、その“払いすぎた分”が返ってくる制度のことです。
たとえば、介護保険の加入者が資格を失った(亡くなった、または他の自治体へ転出したなど)場合などに、保険料が過剰に徴収されていた分が返金されることがあります。この制度は、公平な保険料の徴収を保ち、加入者の負担を必要以上に重くしないために設けられているんですね。
還付が発生する主なケースとは
実際に介護保険料の還付が発生するのは、次のような場合です。
住所が変わって他の自治体に転出したとき
転出した日以降の期間については、すでに支払った保険料が返ってくる場合があります。
被保険者が亡くなったとき
この場合、介護保険の資格を失った月の翌月分からは支払う必要がなくなるため、再計算の結果、納めすぎた分が還付されることがあります。
誤って二重払いしたとき
同じ月の保険料を2回支払ってしまったり、金額を多く振り込んでしまった場合にも、過剰分が戻ってきます。
こうしたケースはどれも珍しいことではなく、うっかりミスや手続きのタイミングのズレなどで発生することが多いんです。
介護保険料が納めすぎになる理由

では、どうして保険料を多く納めてしまうことがあるのでしょうか?主な原因は「手続きのタイミング」にあります。
たとえば、介護保険の資格を失ったあとでも、口座振替が自動的に続いてしまったり、年額を一括で支払った後に途中で資格が変わった場合などです。
また、保険料の金額は月ごとに見直しが行われることもあるため、その調整で「払いすぎ」となるケースもあります。つまり、手続きや支払い方法のタイミングが少しずれるだけで、還付の対象になることがあるんですね。
還付金の計算方法と基準

還付金の金額は、基本的に「資格喪失日」をもとに計算されます。資格を失った月の前月分までが支払いの対象となり、それ以降の分が“払いすぎ”と判断されます。
たとえば、年額を一括で支払っていた方が途中で資格を失った場合は、残りの月数分が返金される仕組みです。
ただし、もし未納の保険料がある場合には、還付金がその未納分に充てられることもあります。そのため、「思ったより還付額が少ない」と感じることもありますが、これは制度上の正しい処理なんです。
還付通知書とその役割
還付が発生すると、自治体から「介護保険料過誤納金還付通知書」という書類が届きます。
この通知書には、還付金の金額や理由、手続きの流れなどが詳しく書かれており、還付を受けるためにとても大切な書類です。
記載内容を確認したうえで、被保険者ご本人または相続人の方が自治体に還付請求を行い、指定の銀行口座へ振り込んでもらう形になります。
詐欺に注意!正しい通知の確認方法
最近では、「介護保険料の還付がある」と言って金銭や個人情報をだまし取る詐欺も増えています。正しい通知書は、自治体の公式ロゴや封筒の差出人で確認できます。突然の電話で「還付があるから口座情報を教えてください」と言われても、絶対に応じてはいけません。
不安な場合は、直接自治体の担当窓口に問い合わせましょう。還付通知書に記載された内容をしっかり確認し、不審な点があればそのままにせず確認することが大切です。
介護保険料の還付手続きの具体的な進め方
通知書が届いたら何をすればいい?

介護保険料の還付金が発生すると、自治体から「介護保険料過誤納金還付通知書」という書類が郵送で届きます。まずは封筒を開けて、記載内容をしっかり確認しましょう。
通知書には、還付金の金額や還付の理由、そして手続きの方法などが詳しく書かれています。
もしわからない点があれば、通知書に記載されている問い合わせ先に遠慮なく連絡してみてください。また、この通知書は還付手続きの際に必ず必要になる大切な書類です。うっかり紛失しないよう、きちんと保管しておきましょう。
申請に必要な書類とその準備方法
還付を受けるには、通知書と一緒に送られてくる「還付請求書等」に必要事項を記入して提出します。書類には、住所・氏名・振込先口座情報などを正確に記入することが大切です。特に、口座番号の記入ミスは振込遅延の原因になりやすいので注意しましょう。
もし被保険者の方が亡くなっており、相続人が手続きを行う場合は、相続関係を証明する書類(たとえば戸籍謄本など)の提出が必要です。
また、ほとんどの自治体では返信用封筒が同封されていますので、必要書類を入れてポストに投函するだけで手続きが進められます。スムーズに申請を進めるためには、必要書類を事前に揃えておくことがポイントです。
オンライン申請と窓口申請の違い
最近では、自治体によってはオンラインで還付申請ができるところも増えてきています。オンライン申請なら、自宅から手軽に手続きを完了できるのが大きなメリットですね。忙しくて役所へ行く時間がない方には特に便利です。
一方で、窓口申請には対面ならではの安心感があります。担当職員にその場で相談でき、不明点をすぐに解決できますし、記入漏れや誤りがあってもすぐ修正できます。「書類の内容を直接確認してもらいたい」「急ぎで進めたい」という場合には、窓口申請のほうが確実です。
ただし、オンライン申請に対応しているかどうかは自治体によって異なるため、事前に公式サイトなどで確認しておきましょう。
申請後、還付金が振り込まれるまでの流れ

申請書類を提出(または郵送)してから実際に還付金が振り込まれるまでには、おおむね1〜2か月程度かかるのが一般的です。
書類に不備がなく、内容に問題がなければ、指定した銀行口座に直接振り込まれます。
ただし、自治体によっては振込日を個別に通知しない場合もあります。そのため、申請後は定期的に口座の入金状況をチェックしておくと安心です。また、確認事項がある場合には自治体から連絡が入ることもあるので、電話番号などの連絡先は正確に記入しておきましょう。
手続きが遅れるとどうなる?注意点を解説
ここで特に注意してほしいのが、「還付の請求期限」です。

介護保険料の還付手続きは、通知書の送付日から2年以内に行う必要があります。
この期間を過ぎると、法律上の「時効」により還付を受け取る権利が消えてしまいます。
また、申請書の記入漏れや書類の不備があると、手続きが遅れることもあります。特に相続人による申請の場合は、相続関係を証明する書類の準備に時間がかかることが多いため、早めの対応を心がけましょう。手続きを丁寧に、でもスピーディーに進めることが、確実に還付金を受け取るコツです。
還付金を受け取る際の注意点と重要なポイント
還付金請求の時効と期限に注意
介護保険の還付金には、「請求できる期限」=時効があります。還付金の請求権は、通知書が発送された日から2年間有効ですが、これを過ぎてしまうと時効が成立し、もう請求することができません。
還付金とは、介護保険料を納めすぎた場合に返金されるお金のことですが、手続きを忘れてしまうと、そのまま受け取れなくなる可能性があります。通知書が届いたら「あとでやろう」と後回しにせず、できるだけ早めに手続きを進めることが大切です。
相続人の場合の手続きと注意点
被保険者の方が亡くなった場合でも、介護保険料を納めすぎていれば、相続人が還付金を請求することができます。この場合は、「介護保険料過誤納金還付請求書兼口座振込依頼書」に加えて、**相続関係を証明する書類(戸籍謄本など)**の提出が必要です。
ただし、相続放棄をしている場合は請求できません。また、振込先は必ず相続人本人の口座を指定する必要があります。書類の記入漏れや添付書類の不足があると、手続きが遅れてしまうので、提出前に内容をしっかり確認しておきましょう。
還付金詐欺の手口とその対策
近年、「介護保険の還付金がある」と装って個人情報やお金をだまし取る詐欺が報告されています。不審な電話やメールを受け取った場合は、まず落ち着いて相手の指示に従わないことが大切です。
正規の手続きでは、「介護保険料等還付通知書」など、自治体から正式な書類が郵送で届くのが基本です。電話やメールだけで「口座を教えてください」「ATMで操作してください」と言われることは絶対にありません。
もし少しでも不安を感じたら、通知書に記載された自治体の問い合わせ先、または自治体の公式窓口へ直接確認してください。「おかしいな」と思った時点で確認することが、詐欺から身を守る一番の対策です。
振込口座の登録時に気を付けるべきこと
還付金の受け取りには、振込口座の登録が必要です。ここでも気をつけたいのは、入力ミスと情報の取り扱いです。口座番号や名義を間違えると振込が遅れることがあり、場合によっては再手続きが必要になることもあります。
また、第三者に口座情報を伝えるのは絶対に避けましょう。手続きは、自治体から届いた正式な通知書や指定のフォームに従って行い、自治体宛てに直接提出するのが基本です。「メールで口座を教えて」といった連絡には応じないように注意してください。
手続き後の確認方法と問い合わせ先
還付金の請求書を提出してから振り込みが完了するまでには、おおよそ1〜2か月ほどかかります。もし期間を過ぎても入金が確認できない場合や、通知書自体が届かない場合は、早めに自治体へ問い合わせましょう。
たとえば練馬区の場合、介護保険課の窓口は東庁舎4階にあります。直接訪問して相談することもできますし、電話での問い合わせにも対応しています。詳しい連絡先や受付時間は、通知書や自治体の公式Webサイトで確認できます。
介護保険料の還付をスムーズに進めるためのポイント
通知書が届かないときの確認方法

介護保険料の還付に関する通知書が届かない場合は、まずお住まいの市区町村にある介護保険担当窓口へ確認しましょう。
転居や住所変更をしている場合、登録情報が古いままになっている可能性があります。住民票の住所が正しく反映されているかをチェックすることも大切です。
また、通知書の発送時期は自治体によって異なるため、単に発送が遅れているケースもあります。自分で判断が難しいときは、介護保険課や担当窓口に直接問い合わせて状況を確認すると安心です。
手続きが複雑なときの進め方
介護保険料の還付手続きは、書類の準備や記入内容が複雑で戸惑う人も少なくありません。そんなときは、通知書に添付されている記入例やガイドを活用するとスムーズに進められます。

不明点がある場合は、窓口や電話で担当者に質問するのが最も確実です。
特に相続が関係するケースでは必要書類が増えるため、事前に必要な情報を整理しておくと手続きがスムーズになります。
よくあるトラブルとその防止策
介護保険料の還付でよくあるトラブルには、「記入ミスや不備で申請が受理されない」「通知書を紛失してしまった」「還付金詐欺に巻き込まれる」などがあります。対策としては、提出前に記入内容を再確認することが第一歩です。
もし通知書をなくした場合は、速やかに窓口で再発行を依頼しましょう。さらに、還付金を装った不審な電話やメールが届いた場合は、絶対に個人情報を伝えず、疑わしいときは自治体の公式窓口に連絡して確認することを徹底してください。
自治体ごとの手続きの違いを把握する
介護保険料の還付方法は自治体ごとに異なる場合があります。たとえば、オンライン申請に対応している自治体もあれば、窓口での直接手続きを重視している自治体もあります。
練馬区では「介護保険料過誤納金還付通知書」が送付され、郵送または窓口提出で手続きが可能ですが、他の自治体では異なるケースもあります。具体的な方法は、各自治体の公式サイトや窓口で確認しておきましょう。
専門家に相談したほうがよいケース
相続や未納金の処理など、手続きが複雑な場合は専門家への相談がおすすめです。たとえば、複数の相続人間で調整が必要なときや、相続放棄を含むケースなどは、自分で判断するのが難しい場合があります。
また、還付請求の時効が迫っている、手続きが長引いているといった状況でも、行政書士や社会保険労務士に依頼すれば、スムーズかつ確実に進められます。専門家に相談することで、安心して手続きを進めることができるでしょう。