マレーシアのデジタルノマドビザとは?申請基準や注意点を解説

この記事ではマレーシアのデジタルノマドビザについてお伝えしようと思います。このニュースは、2022年10月1日からデジタルノマドビザの申請が開始されマレーシアのX(Twitter)界隈でも非常に話題になっていました。

デジタルノマドビザ普及の背景

今回はまず、世界的にデジタルノマドビザが普及している背景についてお話しし、その後、マレーシアのデジタルノマドビザの概要をお伝えします。さらに、マレーシアでの働きやすさについて、私自身の実感も交えて、リモートオフィスや環境についてお話ししたいと思います。そして最後に、注意点が2点ありますので、皆さんの参考になればと思います。

視聴者の皆様の中には、アジアのタイやバリ島でも近い将来デジタルノマドビザが導入されるというニュースをご存知の方もいるかもしれません。また、ジョージアやポルトガル、クロアチア、さらにはエストニアなどの欧州や北欧の国々でも、新たな人材を受け入れる取り組みが広がっています。

デジタルノマドビザ導入の目的

コロナ禍において、どの国も観光業が打撃を受けました。そのため、観光業以外で人を招き入れる施策としてデジタルノマドビザが開始されたといえますが、本質的には優秀な人材を招き入れたいという目的があります。デジタルノマドビザを通じて、現地の企業で働いたり、起業したりすることが期待されており、これにより新たな産業やスタートアップが生まれる可能性もあります。このように、競争力のある人材を広く受け入れたいという考えがあるのです。

実際マレーシアは以下の3つを目標に掲げています。

マレーシアをASEANのデジタルノマドハブとすること

デジタルプロフェッショナルのモビリティを国全体で促進すること

デジタルの普及と経済活動を加速させること

マレーシアにおいても同様の概念があり、この「Dランタン」という名称は、マレー語で「デジタル」を意味する言葉に由来しています。このビザの申請は10月1日から開始されることになりました。

マレーシアのデジタル長官(MDEC)の公式ウェブサイトのURLでデジタルノマドビザの概要を確認することができます。それでは、ポイントをお伝えします。対象者は、ITやデジタル関連の仕事をされる方々で、特にデジタルマーケティングやデジタルコンテンツ制作に関わる方も対象に含まれます。

デジタルノマドビザ申請基準

対象者は、ITやデジタルに関わる方々に広く設定されています。そして、申請にあたっての基準がいくつかあり、その一つが年収です。年収は24,000ドルで、現在のレートで約350万円弱となります。この基準は、最近始まったMM2Hビザや富裕層向けのプレミアムプログラムと比較すると、かなり低いと感じられます。

申請者本人とその配偶者も対象となるビザであり、個人の申請料は1,000リンギット(約32,000円)、配偶者は500リンギット(約16,000円)です。全体として、基準が非常に緩やかで、申請費用も安価です。このビザは「プロフェッショナルビザ」という区分に属し、マレーシアの企業が発給することになります。また、マレーシア国内の企業で働いている方も対象となります。

ビザの有効期間は3ヶ月から12ヶ月で、12ヶ月経過後はさらに12ヶ月の延長申請が可能で、最大2年間有効です。これを聞くと、マレーシアのデジタルノマドビザが非常に魅力的に思えるでしょう。

さらに、マレーシアは事業を始めやすいインフラが整っています。Wi-Fi環境も充実しており、カフェやWeWorkといったコワーキングスペースも特に都市部では多く存在しています。このため、デジタルノマドにとって非常に適した場所と言えます。マレーシアは2030年に向けて、デジタル産業を国の重要な産業の一つとすることを公約しており、投資先として非常に有望な分野となっています。これにより、新たな人材を広く集めるための新しいルールができたと考えられます。

デジタルノマドビザ申請時の注意点

ただし、ここまで良い話が続いていますが、注意すべき点が2つあります。

まず一つ目は、ビザの申請と承認は全く別物であるということです。マレーシアデジタル庁がこのビザのイニシアチブを持ち、運用を担当していますが、申請は別として承認は移民局が行います。このビザは日本人向けではなく外国人向けのデジタルノマドビザであり、優秀な人材を集めたいという意図があります。そのため、年収が高い人や実績のある人が優遇される傾向があります。

国として将来的なメリットを得るために、人材を獲得したいという考えがある場合、承認の優先順位に関する要素が内部に存在するのではないかと思います。これは推測ですが、その可能性は高いと感じています。申請後に承認がどれくらいのスピードで行われるかについては、まだ発表されていませんので、まずは10月の申請状況を見守る必要がありました。

もし申請数が多ければ、当然、優先順位が設定されることになるでしょう。この点も頭に入れておいていただければと思います。申請してすぐに承認されない可能性や、逆に不承認になることも考えられますので、その点もご留意ください。

もう一つの注意点として、マレーシアではルールが頻繁に変更される傾向があります。特に外国人受け入れに関しては、隣国と比較してもまだまだ柔軟性が欠けていると感じます。一旦申請者の状況を見た後に、年収基準を引き上げたり、学歴に関する条件が追加されたりする可能性もあります。これにより申請者にとってのハードルが高くなることも考えられます。今よりも緩和されることは考えにくいため、このチャンスを活かすためには早めの申請が重要です。申請してしまえば、その権利を得られると思いますので、素早く行動に移すことが求められます。この考え方は、このビザに限らずマレーシア全体にも当てはまると思います。

マレーシアのルールは頻繁に変わりやすいため、このビザの基準をよく理解し、行動に移すことが重要です。今後、デジタルノマドや優秀な人材の獲得競争がますます激化すると思います。その中で、マレーシアが打ち出す新しい施策やビザに関する情報を、今後も注意する必要があります。

 

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